研究概要 |
1.攻撃耐性の改良 本方式は,付加情報復号に際し原画像を基準として必要とすることが特徴である.この特徴をさらに積極的に活かし,静止画符号化(JPEG)に対する復号誤り率を減少させる方法を提案した.この結果,例えばテストチャート"Zelda"において,JPEG圧縮比を17としても約1,000ビットの情報を全く誤りなく埋め込むことが可能で,しかも付加情報埋め込みに伴うSN比の劣化は,0.1dB以内におさまることを明らかにした. 2.符号化信号処理手法の検討 位相変調の際に使用する補間手法について,静止画符号化(JPEG)に対する耐性を通して検討した.この結果,例えばテストチャート"Zelda"において,JPEG圧縮比3.6,位相シフト量0.1において,スプライン補間または帯域制限補間を適用すれば,復号誤り率を双一次補間の場合の1/5まで低減できることを明らかにした. 3.特徴を利用した結託攻撃の参加者を特定可能とする手法 正当な利用権利を有する複数のユーザーが結託して,各ユーザーがそれぞれの画像データを持ち寄り,対応する画素ごとに算術平均し,新しい画像データを作成することで埋め込み情報を無効とするという,最も簡単な結託攻撃を受ける場合の結託攻撃の回避方法について検討を行った.この結果,特定の条件下で,結託者数が10名以内であればこれらの違反者を特定できることを明らかした. 4.今後の展開(誤り訂正符号と暗号手法に基づく電子透かし) 本方式は,高画質であるという特長があるものの攻撃耐性の向上についてはかなりの制限があることが本研究で判明した.今後このような手法を発展させる方向として,単独ではなくシステムとして組み合わせて利用することが考えられる.その試みとして,多層符号化の埋め込み手法としての応用と誤り訂正符号との組み合わせが考えられ,今後このような研究を発展させていく予定である.
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