研究概要 |
本研究は,利用者がバスステーションに電話で乗車要求(Dial-a-Ride)する相乗タクシー方式のバス・サービス・システムの開発に関する研究である。代表者は公共交通システムの見直しの一環として,階層的サービス機能を有するバス・システムを提案している。本研究では,利用者にとって利用したい場所から場所へ,利用したい時刻に乗り降りを行うことが可能であるバス・サービスの運用を効率的に行う公共交通管理システムを開発している。研究項目の詳細は以下のとおりである。 1.種々の制約条件を加えたディジタル道路地図データベースの再構築 制約条件を考慮した乗客輸送の最適化を図った遺伝的アルゴリズム(GA)を用いるシミュレーション結果により,充分な精度及び計算時間で巡回経路探索が行え,制約条件を考慮した実用的な巡回経路決定が可能なことが分かった。 2.Dial-a-Ride運用システムの開発 シミュレーション結果により,不定期発車手法の優位性を示した。また,不定期発車手法をリアルタイム処理系に実装した結果は,リアルタイムに充分対応していた。 3.応答の早いルーティングアルゴリズムの開発 高速ルーティングアルゴリズムであるノード挿入法を提案し,先のGAを用いたルーティングアルゴリズムと比較して,格段に高速度・高精度であることを実証実験により明らかにした。 4.リアルタイムDial-a-Rideシステムの効率化とシステム構築 リアルタイムDial-a-Rideシステムにノード挿入法を適用し,この手法を乗客割当て問題も含めた処理に応用したシステムを構築した結果,不定期発車法と比較して大きな改善が確認できた。更に,このシステムの渋滞などの道路状況を考慮したリアルタイムDial-a-Rideシステムへの適応についても検討した。当然の結果ではあるが,道路状況を考慮することで走行時間の短縮を図ることができた。
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