研究概要 |
●固有振動の瞬時値の空間分布を計測と振動モードの決定 本研究では,左心室の中隔壁側の10点の振動波形と後壁の10点の振動波形を同時に計測し,固有振動の瞬時値の空間分布を算出し、固有振動の振動モードを決定した.これは弾性球殻モデルを用いた内圧推定において必要不可欠である.この実験は,従来試みられた例がなく,非常に画期的な結果を得た. ●心内圧を算出する処理系を設計・製作 計測された心臓壁の微小振動波形に,高精度スペクトル推定法を適用し,心内圧を算出する処理系を設計・製作した. ●水槽実験・in vivo実験による心内圧・心筋の弾性特性計測法の評価 作製した装置により,水槽実験,人への適用実験を行って,処理系全体の精度の評価を行い、十分な精度が得られることを確認した。 ●臨床応用・評価 共同研究者の小岩が属する東北大学医学部第一内科のおいて,多くの循環器疾患の患者(心筋梗塞・心筋症)への適用を行った.同時の心臓カテーテルによって心内圧を計測し,非侵襲的手法の精度評価を行った. 以上によって,心臓壁の各部位の微小振動を高精度に連続計測し,その振動信号をスペクトル解析し、固有振動数を算出し、心臓壁に弾性体モデルを適用し,左心室の内圧情報を決定した。さらに、その計算過程で算出される心筋の弾性的特性という新しい診断情報を、非侵襲的に体表から決定することが可能となることが、実験的に確認された.心臓カテーテルによって同時に心内圧を計測した結果と十分な精度で対応している.これら心筋の弾性的特性と心室の内圧情報は,従来の超音波計測法や診断装置では計測出来なかった画期的診断情報である. 本計測方法の開発によって,心筋症・心筋梗塞などの循環器疾患による心筋の音響的・力学的変化とその進行・退縮の程度と範囲を定量的に診断することが可能となり,循環器疾患に関する全く新しい組織診断・治療評価の領域に貢献できる。
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