研究概要 |
次世代交通システムに向けて,道路や車両のインテリジェント化に関する研究開発が盛んに行われている.その中で,カメラで撮影された映像から先行車両や歩行者を発見・追跡し危険を回避する技術は,非接触でかつ未知の対象の認識ができることから,歩行者・運転者双方の安全性の確保の点で必要不可欠な研究要素と言える. 従来の道路理解を目的とした研究を大別すると,道路追跡や形状復元といった道路自体の幾何的関係を推定する研究と先行車両や歩行者などを発見し追跡すると言った道路上の物体を認識する研究に分けられる.道路に対する先行者両や歩行者の相対的関係から衝突回避動作が決まるため,両者は密接に関係している.ところで,道路自体の認識に関する現状は,高速道路における道路境界追跡のフィールドテストなど実用段階に来ている.またGPSとディジタル道路地図の出現などにより大まかな位置関係は容易に獲得できるようになったことで,これらの情報との融合により信頼性も向上しつつある.ただし,これらの実用段階の研究は,そのほとんどが高速道路を対象としており,山岳道路など湾曲した道路などへの適用例は少ない.また市街地などでは,GPSや地図情報から正確な位置が推定できない場面も現実に数多くあり,ロバストな道路追跡や正確な道路形状復元のニーズは高い. そこで,本研究では,知能自動車における道路状況の認識と行動に焦点を当て,道路認識に適したモデルの確立を目標とした.特に提案モデルは,動的輪郭モデルと呼ぶ自由曲線を表現できる形状モデルに基づいており,従来研究のほとんどが,高速道路を対象としていたのに対し,本研究で提案するモデルは自由に湾曲した道路に対しても適応できる点で全く新しい成果である.具体的には,以下の3種類のモデルの提案を行い,実験を通して有効性の確認を行った. ○ 道路境界の追跡と3次元道路形状の復元のためのモデル ○ 経路沿い行動や衝突回避動作を実現するためのモデル ○ 記憶に基づく経路誘導,自己位置推定のためのモデル
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