研究概要 |
1.研究目的 ユーザに広く受け入れられるITS(高度道路交通システム)の実現には,「人にやさしい(信頼される)ヒューマンインタフェース」が不可欠である.この研究では,このための要素技術(ドライバ状態監視技術,情報提示技術,個体差対応技術)を開発し,これらの技術を搭載した車載情報システムによってその有効性を検証すると共に,車載化のための課題を明らかにする. 2.3年間の実施内容とその成果 1)ドライバ状態監視技術 (1)ドライバの居眠り検知 動画像処理によるまばたきの閉眼時問の変化から意識レベルを推定する方法を開発した. (2)脇見の検知 脇見検知に必要な視線方向(顔の向きと眼球の向き)を実時間で計測する方法を開発した. (3)意識集中の検知 動画像処理による視線の2次元分布から意識集中を検知する方法を開発した. 2)情報提示技術 (1)視認性の高い表示 ユーザの視力と視距離を考慮した高齢ドライバにも見やすい表示方法(設計方法)を開発した. (2)緊急性の高い表示 視覚と聴覚による車の緊急度とドライバの意識レベルに応じた警報表示方法を開発した. (3)理解しやすい表示 男女の空間認知能力の違いに注目し,女性にわかりやすい経路案内方法を開発した. これらの技術(個体差対応技術も含む)を搭載した車載化のための情報システムを提案し,検証実験によってその有効性を検証した. 誰にもやさしいヒューマンインターフェースとするためには,ドライバの個人識別とそのドライバ固有の対応技術の開発が必要である. これら一連の成果は,国内外のトップレベルの学会(IEEE ITSC, ITS世界会議,画像の認識・理解シンポジウム,自動車技術会)で発表され,高い評価を得た. この技術の一部は,自動車メーカ1社,自動車部品メーカ5社に技術開示される(現在,手続き中)と共に,平成13年度スタートのNEDOの地域新生コンソシアム「ヒューマンセンタードITSビューエイドシステム」(プロジェクトリーダ:山本 新(名城大)/津川 定之(産業技術総合研究所))に生かされている.
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