研究概要 |
1.多入出力システムでの分数次ホールドのゼロ次ホールドに対する優位性の解明: ホールドとしてゼロ次ホールドに代えて分数次ホールドにすると零点の安定性がどのような条件のもとで改善できるかを,多入出力システムの場合について理論的に解明した.その結果,連続時間システムの無限単因子の次数が2と3からなる場合,およびすべて3の場合に改善可能であることが明らかになった. 2.階段形ホールドによって分数次ホールドを近似実現する場合の零点の安定性解明: 分数次ホールドを,階段形ホールドで近似する場合の多入出力システムの零点の安定性を理論的に解明した.その結果,零点の安定性に関しては,階段形ホールドで近似した分数次ホールドも理想的分数次ホールドと同じ性質をもつことが判明し,これにより,階段形ホールドで近似する場合でも零点の安定性がゼロ次ホールドより改善されることが明らかになった. 3.階段形分数次ホールドを実現し,ディジタルコントローラに適応制御プログラムを組み込み実行させることによる効果の検証: 2および3段の階段形分数次ホールドを,DAインタフェースボードを利用して実現するとともに,ディジタルコントローラに内蔵する適応制御プログラムを作成して,多入出力システムにおける階段近似形分数次ホールドの有効性を実験的に検証した. 4.分数次ホールド方式による制御システム表現ソフトウェアの開発とインターネット上への公開: ホールドとして分数次ホールドあるいは階段近似分数次ホールドをもつディジタル制御システムの表現式を求めるソフトウェアMATLABのパッケージを,これまで1入出力システムに対して開発していたが,これを多入出力システム向けに拡張し,海外からもアクセスできるようにインターネット上http://www.mech.kumamoto-u.ac.jp/Info/lab/control/zeroopen.htmlに公開した.
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