研究概要 |
実際のプロセス制御系では,繰返し作業を行う際,非周期外乱もしばしば存在する.このような非周期外乱に対して,従来の繰返し制御系では外乱を除去することは困難であった. 本研究では,任意の非周期外乱に対しても,その影響が抑制できるという新しい繰返し制御系の設計法を提案する.具体的には,可変構造制御手法が外乱に強いという特徴に注目し,繰返し制御と可変構造制御とを融合し,可変構造繰返し制御系の設計法を新たに提案した.さらに,外乱曲率モデルという新しい非線形低次元な外乱モデルの構築法を導入した.これによって,これまでの外乱除去法で用いられていた事前情報を必要としないだけでなく,外乱の推定を高速かつ高精度に行えるという利点を有することになり,これをもちいて従来の繰返し制御では実現できなかった非周期外乱の除去が可能となった. 平成12年度では,まず,外乱の曲率モデルの構築とその有効性の検証,可変構造繰返し制御という新しい枠組みの構築を理論面から検討し,シミュレーションによりその有効性を確認した. 平成13年度では,引き続き,理論と実験の両面から研究を行った.まず,理論の面において,可変構造繰返し制御系の設計法,および曲率モデルによる外乱推定を融合した制御系の構造についての検討を行った.次に,実験による検証を行った.実験装置としてワンアームロボットを自作し,ロボットに周期的な位置決めをさせながら,非周期外乱を系に加えたとき,本研究で提案する外乱の曲率モデルは外乱を非常に高い精度(サンプリング周期の2乗に比例する)で再現し,これを用いた繰返し制御では,従来の繰返し制御手法に比べて,制御精度は1桁以上高いことが明らかになった.
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