粉体系産業副産物をコンクリート材料として利用するには、粉体に含まれる多量の拘束水や練り混ぜ時の単位水量の拘束が、フレッシュおよび硬化後の物性に与える影響を把握することが重要となる。そこで本研究では、粉体系産業副産物である微粒珪砂(常温で不活性)を対象に、拘束水の影響と取り扱い方法、ならびに、配合設計における留意点を、実験結果を基に明らかにした。 粉体の有効活用を考慮して、フロー値が50cm程度の準高流動コンクリートも対象に、水の拘束性能の評価と影響、ならびに最適な含水率について検討を行った。実験は、拘束水に影響を及ぼす粒度分布の異なる微粒珪砂を対象に、単位水量、水セメント比の異なる配合で行い、粉体系副産物を多量に利用する配合の設計手法について考察を行った。以下に得られた知見を示す。 ・粒度分布の違いは拘束水に影響を及ぼすが、微粒珪砂では粒度分布から利用可能な含水状態が推測可能であり、最適な含水率は0〜20%程度である。 ・粒度分布の異なる微粒珪砂を用いても、水セメント比50%、単位水量175〜185kg/m^3の配合に対して、圧縮強度35N/mm^3程度のコンクリートの製造が可能である。 ・単位水量175〜185kg/m^3の範囲では、排出時の湿潤状態で使用しても、含水量を単位水量に含めて配合設計を行うことで、均一なコンクリートが得られる。 ・水セメント比45〜55%、単位水量175〜185kg/m^3の場合、細骨材との置換率20〜30%で、スランプフロー700mm程度、圧縮強度34〜44N/mm^3程度の良好な高流動コンクリートの製造が可能である。 ・材料分離抵抗性と流動性は、微粒珪砂の置換率と高性能AE減水剤の添加率で制御可能であり、データの蓄積により、微粒珪砂を用いた各種コンクリートの配合設計の構築が可能である。 ・今回対象とした配合条件では、凍結融解抵抗性、収縮性、中性化に係る防食性に良好な性状が示された。
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