研究課題/領域番号 |
12650469
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
構造工学・地震工学
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
薄木 征三 秋田大学, 工学資源学部, 教授 (50006681)
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研究分担者 |
佐々木 貴信 秋田県立大学, 木材高度加工研究所, 講師 (00279514)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
2002年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2001年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2000年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 集成材 / 鋼床版 / エポキシ樹脂 / 挿入鋼板 / 合成梁 / 降伏モーメント / 終局モーメント / 弾塑性 / 垂直サンドウィッチ梁 / ヤング係数比 / せん断応力 |
研究概要 |
1.二軸対称上下垂直挿入鋼板形集成材梁の曲げ耐荷力 矩形断面集成材梁の上下面に梁内部へ向かって垂直にスリット加工を行い、スリットにエポキシィ樹脂を注入した後、これに鋼リプ(鋼板)を挿入して接着接合した梁の曲げ耐荷力を算定できる簡易な公式を導いた。概要は以下の通りである。 (1)特定モーメント 挿入鋼リブ外縁がその鋼材の降伏点に達する曲げモーメント(降伏モーメント)が存在する。断面の曲げモーメントを、降伏モーメントを越えてさらに漸増させてゆくと、ついには鋼リブ全体が塑性状態に達する(リブ全塑性モーメント)。しかし集成材は以前として弾性状態にあるため、さらなる曲げモーメントの増加に耐え、ついには集成材の上下縁の曲げ応力が曲げ強度に達した瞬間に引張り縁から劇的曲げ脆性破壊を生じ、耐力を失う(終局モーメント)。鋼リブ外縁が許容応力度に達するときのモーメント(許容モーメント)を基準に考えると、鋼種がSM450Y、集成材がベイマツの場合で典型的な断面寸法の梁では、以上の4種のモーメントの比は、許容:降伏:リブ全塑性:終局=1:1.7:2.3:2.6となる。 (2)たわみ 典型的載荷状態として2点集中載荷単純ばりを取りあげ、鋼リブが弾塑性状態にあるときの、スパン中央点のたわみの求め方を仮想仕事の原理を用いて示した。すなわちスパン中央点の断面が降伏モーメント、リブ全塑性モーメント、終局モーメントおよびこれらの中間モーメントにある場合の、スパン中央点のたわみを陽な形で示した。このとき集成材のせん断ひずみは無視できなく、全たわみの20数%を占めることを明らかにした。 2.鋼床版で補剛したダブルビームの曲げ耐荷力 スパン15m,幅員5mの鋼床版で補剛したダブルビームを、A活荷重に対して試設計して断面寸法を決定した。ベイマツ集成材をダブルビームとして採用すると桁幅22cm×2に対して桁高90cmを得た。集成材ばり上下部は鋼平リブがエポキシィ樹脂で接着接合される。有効幅を考えて、この実橋の1/3模型を製作し、一点集中載荷試験を行い曲げ耐荷力を検証した。結果の概要は以下のようである。 (1)耐荷力 模型1と模型2の2体の試験を行った。後者は載荷点の構造が前者を改良した形となっている。模型1のスパン中央点が終局曲げモーメントに到達する予想荷重は22.1tfであり、これに対して実験値は21.9tfであった。また終局時のスパン中央点のたわみは、49.5mmと予想されたが、実験値は59.5mmとなり、予想値を20%上回った。同様に模型2の予想破壊荷重22.1tf(模型1と同一寸法、同一材料の模型)に対し、実験値は24.2tfであり、たわみも49.5mmに対して62.0mmと予想値を25%上回った。すなわちいずれの実験値もたわみに関して予想値を20%以上上回っており、荷重一変位関係の非線形性が顕著である。この原因についてはなお究明中である。 (2)ひずみ スパン中央付近の下鋼リブが全塑性状態(荷重強度13.3tf)に達するころから鋼リブのひずみ値はほぼ一定(ε≒2600マイクロ)となり、隣接する集成材のひずみ値から乖離する現象が観察された。つまりある程度鋼リブの塑性化が進展すると、鋼リブと集成材の合成桁作用は弱まり、異なった挙動をすることが推察される。この理由は明確になっていないが、曲げ脆性破壊後の鋼リブには接着剤のみの部分が多く、集成材の木破率は小さい。すなわち接着剤が十分その機能を発揮しているとは言えず、接着剤の種類を含めて今後の課題として残された。
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