研究概要 |
本研究では,CAD/GISデータを用いた地形・構造物のモデリングシステムの構築および安定化有限要素法による風の並列計算システムの構築研究を行った. 1.地形・構造物モデリングシステム 地形・構造物モデリングシステムでは,微地形を正確に表現するためにGISデータから等高線に加えて谷線・尾根線情報も抽出してこれを正確に表現することを可能にした.また,棚田要素の発生を抑えるために要素のスワッピング手法の改良を行った.これにより,棚田の発生が極力抑えられた地形形状を正確に表現した地表面の要素生成が可能になった.3次元空間の要素分割法としては,四面体要素(非構造格子)に基づくデラウニー法に基づく方法を用いた.本システムでは,風の流れを可能な限り正確に捉えるために,地表面や構造物近傍では,細かい要素分割が可能になるように要素分割の粗密付けが行えるようにした. 2.安定化有限要素法による風の並列計算システム 風の並列計算システムでは,密度変化を考慮したNavier-Stokes方程式を支配方程式として,空間方向の離散化には,SUPG(streamline-upwind/Petrov-Galerkin/PSPG(pressure stabilizing/Petrov-Galerkin)法に基づく安定化有限要素法有限要素法を用いた.また,時間方向の離散化にはClank-Nicolson法に基づく差分法を用いた.なお,要素としては,複雑形状への適用性の高い四面体要素を用い,流速・圧力ともに1次の内挿補間(P1/P1要素)を使用した.並列化の方法には,領域分割法に基づく方法を採用し,メッセージ通信にはMPIを使用した.本手法の妥当性の検証を行うために,成層度を変化させて計算を行い実験結果等との比較を行った.その結果,本手法による結果は実験結果と良い一致を示すとともに,分散メモリー型並列計算機上において高い並列計算効率を与えることを示した.
|