| 研究概要 |
本研究は,上流域からの流量供給や土砂供給が砂州河床の変動に及ぼす影響を明らかにするとともに,混合砂の分級効果について検討を行ったものである.研究成果の概要を以下に示す.
1.交互砂州の発達・変形に及ぼす流量変化の影響
(1)流量の変動周期が短い場合は交互砂州は流量の変化速度の影響を受けるが,変動周期が長い場合はその影響は小さい.
(2)交互砂州の発達・変形過程を通じて,混合砂河床の波高は一様砂河床の波高よりも低く抑えられる.
(3)流量変化に対する交互砂州の波長・波高,水深および流砂量の応答遅れは,流量の変動周期が長いほど小さく,また,一様砂河床よりも混合砂河床の方が小さい.
2.交互砂州の変形と水みちの形成に及ぼす給砂の影響
(1)流量低下による局所洗掘部への流水の集中によって砂州は変形,浮州が出現し,水みちが形成される.給砂がある場合は浮州は発生と消滅を繰り返すため,水みちは浅く,活発に変動する.一方,給砂がない場合は河床低下の進行に伴って浮州は安定化し,水みちは深く,安定する.
(2)混合砂河床の浮州は砂粒子の分級の影響を受けて形成され,浮州の上流側は粗砂が多く,下流側は細砂が多い.また,この浮州は一様砂河床の浮州よりも安定しており,発生と消滅を繰り返した場合でもその周期は比較的長い.
3.水みち河床から交互砂州河床への移行に及ぼす流量の影響
(1)浮州の減衰・消滅と水みち幅の拡大は,小流量時には河床上昇と浮州の侵食によって行われ,大流量時では浮州の侵食のみによって行われる.
(2)一様砂河床では浮州は上流部から侵食されるのに対して,混合砂河床では下流部からも同時に侵食される.このため,混合砂河床では砂州の形成に要する水みち幅の確保が容易で,粗砂による前縁線の形成によって砂州は発達しやすい.
(3)輸送能力を超える給砂を与えることによる河床上昇と低流量によって,水みち河床はより規模の大きい交互砂州を有する河床に移行する.
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