研究概要 |
本研究は,福井県の諸都市を対象とし,都市計画区域内での市街化調整区域や用途白地地域といった現行土地利用規制地域内での都市開発動向を入念に調査・分析し,都市開発発生のメカニズムを解明すること,そして現行時点での都市開発状況がもたらしている種々の問題点の把握を踏まえ,地域性等固有の条件を踏まえた上での適切な制御方策を提案することを目的としたものである.得られた主要な成果は以下の通りである. (1)本来市街化を抑制すべき市街化調整区域においても,モータリゼーションと道路整備の進展等を背景に区域内全体にわたってかなりの都市開発が生じていること,その結果として都市構造への影響や用途混在化の可能性,道路機能への影響等の問題を内在させていること,そして都市開発の立地展開には幹線沿道型,用途地域滲み出し型,既存集落関連型,大型施設先行型の4つの特徴的パターンがあり,それぞれに対応したきめ細かな制御方策の導入が必要であること等を実証的に明らかにした. (2)市街化調整区域に隣接する用途白地地域の都市開発がもたらす問題はさらに深刻であり,その動向,要因等を明らかにするとともに,現行緩規制の限界,土地利用制御の広域的調整の必要性等を指摘した. (3)事業所に着目し,業種・職住形態別にその立地展開状況を把握分析し,立地制御という面から移転の特性,要因を明らかにすることによって,事業所移転を制御する条件を導き出した. (4)最後に,以上の実証的分析結果にもとづき,用途白地地域において,都市開発ポテンシャル等の地域性を考慮したメリハリのある土地利用の規制・誘導を図るための判断基準となる地区類型手法を示し,その適用(丸岡町)を通して有用性について検討した.地区類型の考え方,方法は,都市開発現象面からの類型と都市開発影響要因面からの類型を組み合わせて,「開発度」と「開発ポテンシャル」の両面から小地区(250mメッシュ)を類型化するものであり,緩規制地域における規制・誘導の即地的判断基準となりうることを示した.
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