研究概要 |
本研究は,「処分揚浸出水中の微量物質へのプラスチックごみ収集・処理方式の影響に関する研究」と題して,処分場へ持ちこまれる廃棄物の質が,浸出水中に含まれる微量物質の種類や濃度にどのように影響するかについて調査したものである。産業廃棄物の処分場(管理型・安定型)ではND〜2,800μg/Lの濃度で検出された。安定型の処分場からも1件を除き,比較的高濃度で検出された。一方一般廃棄物の処分場からは,26μg/L〜8,400μg/Lの濃度で検出された。焼却残さ主体の処分場では,経年とともにビスフェノールA濃度が増加する傾向にあり,有機物を多く埋め立てた処分場では経年とともにビスフェノールA濃度が減少する傾向にあった。焼却残さ主体の処分場でのこの傾向は単に経年の影響であるのか,焼却技術の向上による有機物持ちこみの低下に原因があるのかは十分に検討する必要があるが,概して,浸出水中の有機物濃度の高い処分場の方がビスフェノールA濃度が高くなる傾向にあった。浸出水中のビスフェノールAはろ過や凝集のみでは除去できないことから,溶存体として存在し,フミン質などの卓越する有機物との結合も弱い状態で存在していると想定された。なお,浸出水の処理施設では生物処理によっておおむね除去され,活性炭やRO等の高度処理を経ればさらに濃度が低減し,1μg/L以下の濃度にまで処理が十分に可能であることが明らかになった。また,一方,新しい処分場では,焼却灰などに由来する塩類,鉛,アンチモン,モリブデンなどが比較的高い濃度で検出されることを明らかにした。
|