研究概要 |
平成12年度は,先ず米松集成材の金属プレート接合を用いたL型試験体の曲げせん断実験を行い,モーメント抵抗接合の挙動に与える各種要因の分析を行った。その結果を考慮に入れ,集成材の金属プレート接合の力学的挙動に対して大きな影響を持つと考えられる要因の一つである集成材同士のめり込みに関する実験を行った。平成13年度も引き続き集成材同士のめり込み実験を行い,樹種として,米松集成材に限定し,受圧幅受圧成,支圧幅余長,余端を変動要因として64種,192片の回転めり込み実験を行った。 既往の研究では,金属プレートによる等変位めり込みを与えることでめり込み挙動を把握しようとするものが多く,通し貫を用いて回転めり込みを与え金属プレートと集成材の回転めり込み挙動を調べた研究もある。しかし,通し貫を用いた方法では,余長および余端に自由度を持たせることは不可能であり,金属プレートを用いた等変位めり込み実験から回転めり込みを類推する研究にとどまっている。そこで本研究では,先ず,上述した変動要因すなわち受圧幅,受圧成,支圧幅,余長,余端を自由に選択でき,且つ表面回転めり込みを与えることのできる加力装置を設計・製作した。本加力装置により,なめらかな回転運動を可能とし,余長・余端を変動させて表面回転めり込みを与える実験を可能とした。 当初は,ドリフトピンと集成材のめり込みに関する基本的実験,座金と集成材のめり込みに関する基本的実験を行い,集成材同士の回転めり込みも合わせて力学モデルを構築し,金属プレート接合の力学的挙動を説明するモデルを構築する予定であった。しかし,集成材同士の回転めり込みに対するデータを追加する必要が生じたため,平成13年度も引き続き集成材同士の回転めり込み実験を行った。さらにこれらのデータを用いてモーメント-回転角関係をバイリニア型で表現した式を提案し,その有効性を示した。
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