研究概要 |
本研究では,コンクリートのひび割れ面に垂直方向の垂直荷重(拘束力)と接線方向の繰返しせん断荷重が同時に作用した場合のコンクリートのクラック生成と成長およびその破壊進行領域における力学的特性を明らかにすることを目的としている。 平成12年度は第一段階として,ひび割れ面に垂直な変位(拘束剛性無限大)または荷重(拘束剛性0)を一定とする拘束条件で,繰返しせん断実験を行い,単調加力せん断挙動との相違等について検討し,コンクリートのひび割れ面におけるせん断挙動,特にせん断剛性低下率および除荷・再載荷挙動に及ぼす繰返し載荷の影響を明らかにしてきた。さらに既往のせん断伝達モデルの適合性について検証した。 平成13年度では,せん断挙動に及ぼす拘束効果の影響を明らかにするため,ひび割れ面における鉄筋の拘束効果を考慮した繰返しせん断実験を計画した。ただし実際に鉄筋を配した試験体を用いる場合,鉄筋とコンクリートの付着挙動の誤差が,実験結果に与える影響が無視できなくなる可能性がある。そこで本実験では,ひび割れ幅に応じて拘束力の変動が可能なクローズドループサーボ制御システムを構築し,動作確認のための予備実験を行った。次に開発した制御プログラムによって実際のひび割れ面に生じるであろう拘束力をアクチュエータで模擬的に載荷する条件下で繰返しせん断実験を行った。初期ひび割れの有無および拘束効果のパラメータとして,鉄筋比(0〜1.6%),鉄筋の降伏応力度(345Mpa,1275Mpa),抜出し量などを実際のコンクリート構造物を想定して決定し,各種パラメータがせん断挙動に及ぼす影響について検討した。 今後さらに実験データを蓄積し、拘束効果(拘束力と拘束剛性)がせん断挙動に及ぼす影響を明らかにしていく。さらに,実験結果よりせん断モデルを修正・開発し,RC部材の数値計算プログラムに組み込み,検証していく予定である。
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