| 研究概要 |
1.地震動の空間変動を考慮した応答スペクトル法に基づき,トラスの部材断面変数などの設計変数に関する平均最大応答量の感度係数を求めるための感度解析式を導いた。
2.節点座標が固定された構造物に対し,地震時の最大応答ひずみに関する制約の下で総部材体積を最小とする部材断面積を求める最適設計問題を定式化し,アーチ状の平面トラス及び平面骨組の最適設計解を求め,それらの特性を考察した。その結果,地震動の空間変動により,とくに応答の準静的成分の影響によって,ひずみ制約を満たすために必要な部材断面は増大する傾向にあることを示した。
3.入力地震動の空間変動を決定するパラメータの値は不確定であるから,パラメータの変動にともなう最適解の変化やロバスト性について考察することは重要である。そのため,パラメータに関する最適設計解の感度分析の手法を提案し,アーチ状骨組の例題によって,その精度を確認した。
4.上記の1〜3では,構造物は剛な地盤に直接支持されているものと仮定した。それに対し,現実的な問題に対応するため,構造物と地盤の相互作用も考慮した応答スペクトル法を提案し,模擬地震動を入力した時刻歴応答解析によってその精度を検証した。この手法に基づき種々の形状の大スパン空間骨組構造物の最適設計解を求め,地震動の空間変動特性及び骨組と地盤の相互作用の応答量への影響について考察した。
5.大スパン構造物は,壁状の境界構造物によって支持されることが多い。また,基礎には,工学的基盤面に入力され地盤によって増幅された地震動が入力されるため,地盤を1つの構造物ととらえれば,大スパン構造物は,重量の大きい主構造物の上に建設される2次構造物と考えることができる。そこで,本研究で提案した手法をより大規模な構造物に拡張するため,空間骨組構造物の屋根部分を2次構造物,支持構造を1次構造物と考え,応答スペクトル法による2次構造物の応答評価法に基づき,屋根部分の最適設計解を求める手法を提案した。
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