研究概要 |
(小野正行・江崎文也 担当) 一定軸力下で,載荷速度と破壊モードおよび履歴パスを実験変動因子として一方向単調載荷と正負繰返し載荷実験を行い,実験変動因子が無開口と有開口耐震壁の復元力特性に及ぼす影響について比較検討を行った。実験結果から以下のことが確認された。 1)無開口と有開口耐震壁の水平せん断耐力は,いずれの破壊モードの試験体とも載荷速度が速くなると水平せん断耐力が上昇する傾向にあり,一方向単調載荷より正負繰返し載荷の方が水平せん断耐力が小さい。また,載荷速度が速くなると水平せん断耐力時の層間変形角は,正負繰返し載荷よりも一方向単調載荷の方が大きくなる傾向にあり,載荷速度によりその復元力特性が異なる。2)無開口と有開口耐震壁の水平せん断耐力の上昇率は,柱主筋と壁板の歪み速度による上昇率で大略説明できる。 (平松晃 担当) 載荷速度の影響を検討するために水平荷重や転倒モーメントには数種の異なる振幅や振動数を設定して,それぞれの場合の復元力特性を求め比較検討した。さらに,これらの実験結果を反映してモデル化した復元力特性を最下層に設定した7階建てRC造1スパンピロティ建築物の地震応答計算を行い,転倒モーメントの変動に応じて剛性や耐力が変化することは,最大応答層モーメントを減少させるが最大応答変位は増加させる傾向にあることを確認した。 今後10cm〜20cm/secの載荷速度が可能になるように載荷装置の改良を行い,今回の載荷速度の10〜20倍と柱に変動鉛直荷重を載荷した場合についての検討を行い,載荷速度の影響をさらに明確にしたい。
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