研究課題/領域番号 |
12650649
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
建築史・意匠
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
櫻井 敏雄 近畿大学, 理工学部・建築学科, 教授 (60088424)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2001年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2000年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 近世社寺建築 / 神社本殿 / 近世寺院本堂 / 桃山様式 / 江戸様式 / 近世細部様式 / 近世社寺建築の意匠と多様性 / 近世社寺建築の構造 / 近世神社本殿 |
研究概要 |
近世社寺建築の様式と意匠について、神社建築・寺院建築・構造と意匠の三点にしぼりその概略について述べる。 【神社本殿】 1.近世神社建築の代表は複合社殿で、先行形態としての北野天満宮があり、幕府の造形と、て束照宮社殿がある。両者の意匠的は桃山・江戸時代の意匠の総決算であり、両者を検討することにより、桃山様式の成立過程と様式の基調を明らかにできた。これを中心として神社本殿意匠の大きな流れを検討することができた。 2.権現造をなす複合社殿には流造と入母屋造を本殿とするものがあり、天満宮系社殿は後者のように考えられ出組とされたようであるが、前者の場合もある。また、桃山様式は関西においても地域性があり、細部絵様・繰形や、極彩色ないし彫刻の使用、普及の仕方に地域差があり、豪快さが本来の特色である。 3.関西でも桃山様式成立に果たした大阪・京都の役割には相違し、大阪では極彩色で彫刻の類は少な目で京都では初期には両者が顕著である。江戸時代の関東では素木造で彫刻が多用され、関西では彫刻の代わりに極彩色を大阪では多用し、兵庫では流造に出組を早くから採用し、江戸後期には二手先支輪付きとするもの俄然石的にみられ、関東では禅宗様とし尾垂木まで挿入する例が江戸末卸には見られ始める。 【寺院建築】 1.著名な近世寺院建築の多くは大規模で、その意匠は折衷様を採用する。近世を代表する西国三十三所霊場寺院の建築には旧密教系寺院を含み、それは仏堂の空間の変質・発展の過程を示すと同時に、様式・意匠の在り方も保守的である。しかし、鎌倉新仏教の宗派のうち、日蓮宗本堂の内陣では近世に入り濃厚な禅宗様を採用し、邸宅風な浄土・浄土真宗は本山格寺院では禅宗様化が顕著で建ち登らせ柱を使用するのに対して、一般末寺では法令もあり極めて簡素で、装飾は内陣来迎柱上ないし内外陣境に限られ質素である。 2.近世では宗派による平面形式に相違があり、本山格・末寺では建築様式や意匠に差がある。これは地域性よりも強く出る。宗派によっては関西(和様が中心)と関東(禅宗様が流行)、江戸と地方(近畿を除く)では、その伝統はかなり尾を引くと同時に、影響が認められる 3.巨大な仏堂で使用される建ち登らせ柱の使用は、小屋組の完成と歩みを同じくするが、入側柱に使用され、次の段階で、浄土諸宗の邸宅風な本堂を仏堂化する過程で発達する。しかしその萌芽は中世にある。 【構造と意匠】近世寺院建築の様式・意匠は深く建ち登らせ柱と関連し、折衷様化は建ち登らせ柱を利用し挿肘木として空間を大きくとることから、その意匠も十分見応えのあるものとなり、一体的な空間の完成をみる。
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