研究概要 |
最近地球環境の悪化と共に,微生物の影響が懸念されている。好気性細菌の硫黄細菌は硫酸を作り,地球環境問題の酸性雨のように,構造物や文化財を腐食劣化させる。これは微生物が悪玉として作用する例であるが,本研究の目的は,悪玉の微生物腐食をコントロールして逆に微細加工技術に応用し,善玉として利用するものである。微生物加工技術として応用するために,次の諸点について調査・検討した。 (1)鉄酸化細菌の最適培養条件:酸性環境に生息するチオバチルス・フェロオキシダンスの培養試験を,本研究費で購入したインキュベータを使い実施した。 (2)鉄酸化細菌による腐食加工の機構解明:鉄鋼は銅に比べ腐食加工量が4〜5倍大きい。電気化学的に腐食加工過程や腐食機構的な面からの微細加工に適合した条件の検討のほか,表面の腐食加工状態の付着物解析のためSEM観察とEPMA解析を実施した。 (3)表面粗さのコントロール:鉄鋼は銅に比べ表面粗さも大きいので,鉄鋼の表面粗さを小さくするためインヒビター添加による表面の微細加工条件を検討した。 (4)機器モデル試験:パイプを使い配管を模擬した機器モデル試験を実施した。 (5)微生物腐食加工の応用調査:金属の微生物腐食に限定せず,環境問題解決への応用として,ゴミ焼却灰や石炭灰からの重金属の除去に応用する基礎的な検討を実施した。
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