研究概要 |
1.超微粒子衝撃コーティング法における磁界・高周波電界援用効果と形成膜の特性 超微粒子衝撃コーティング装置の成膜領域に変更を施し,電極形状を改良し,DC高電界の印加に加えて高周波(RF)及び磁界(マグネトロンスパッタ効果(MS))の重畳が可能な方式とした.この装置を用いて,DLC膜の成長効率,形成膜の微細構造及び境界摩擦特性について究明した結果,(1)膜成長速度は,MSのみ援用の場合で従来比の約11.3倍(新電極にDCのみ印加した場合の約2.5倍),MSとRFを両用した場合で従来比の約14.7倍(同じく約3.2倍)と著しく向上した. (2)成膜領域の電磁界条件をDC印加のみ,MS援用,MS・RF援用と変化させると,膜成長効率は次第に低下するが,膜の抵抗率とその温度係数は高くなりアモルファス構造化が進む. (3)膜質と境界摩擦特性の関連については,アモルファス相の含有率が高いDLC膜では,表面ガスの吸着量は少ないが吸着熱が高く,境界潤滑効果がより長く持続する. 2.超微粒子ビー厶加工法におけるイオンビー厶援用効果及び膜形成機構に関する検討 超微粒子衝撃エネルギの定量化に不可欠な帯電量測定実験を実施し,電子ビーム照射帯電装置(試作)の基本性能と凝集超微粒子の均一分散化供給法について究明した結果,(1)帯電装置における大電流の安定的出力を確認した. (2)超微粒子の均一分散化供給法として,(1)凝固させた超微粒子分散溶剤の真空中気化によって供給する方法は,真空度低下を生じるので問題がある. (2)静電的噴霧微細化供給法は帯電実験に適用可能である. 3.まとめ 超微粒子衝撃コーティング法における磁界・高周波援用DLC膜形成について,膜成長効率,膜微細構造及び潤滑性に関する評価を行うことができた.超微粒子ビーム加工法については,超微粒子の帯電実験法を確立した。今後,電子ビーム照射条件と帯電量の関係,静電加速による衝撃エネルギと膜成長の関連及び膜質改善へのイオンビーム援用効果を究明する.
|