研究概要 |
異方導電性接着剤を用いたフリップチップの接合素子の,力学的立場からその信頼性の評価を試み,接合安定性を確保するために次項目に関して検討を行った. (a)半導体パッケージおよび導電部に生じる接合熱応力に関する理論的検討 (b)接着剤の接合強度評価に関する実験的検討 (C)樹脂封止デバイスの応力評価に関する実験的検討 その結果,異方導電性接着剤を用いたフリップチップ接合素子に生じる熱応力の特性を明らかにすることが出来,さらに接着剤の接合強度を限界エネルギー解放率で評価することにより,温度変化による熱応力ではく離進展が生じるかどうかの推定の可能性を示すことが出来た. 得られた結果の要約は以下のごとくである. (1)半導体パッケージに生じる接合熱応力に影響する各種パラメータを示すことが出来,そのパラメータの熱応力におよぼす影響を明らかに出来た.これにより,熱応力をより小さくするパッケージの設計が可能となる. (2)接着剤の接合強度評価方法を示すことが出来,熱応力により接着剤がはく離した場合に,はく離がさらに進展するかどうかを推定することが可能になった.これにより素子接合部の接合安定性を向上させることが出来る. (3)樹脂封止デバイスの樹脂部の応力を超音波顕微鏡により測定できる可能性が示された.これを用いると実際の素子の熱応力および残留応力を実験的に測定できることを示した.
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