研究概要 |
超臨界水中での水熱合成による微粒子生成機構解明には粒子析出や生長といった相挙動が重要であり、その観測の一つの手段として水熱ダイヤモンドアンビルセル(HDAC)による方法がある。試料ホールダー内容積は50nL程度と非常に少量であり、広範囲での現象の定性的理解には非常に優れた手法である。しかし,圧力の制御性の低いことが測定での課題とされてきた. そこで、本研究ではHDAC観察での圧力制御性を向上するための装置的改良をしたHDAC実験装置を開発・製作するとともに、改良装置を用いて、水およびAlOOHを試料として、これらの水熱合成反応のその場観察と記録、さらにその解析による反応機構に関する情報を収集し、連続反応装置での研究結果との照合による反応、粒子形成機構の解明を行うことを目的とした。 圧力検証については,水の低温域での相転移の測定で実施した.室温(19-20℃)で圧力を最大2GPaまで上昇させたところ,まず0.9GPa付近にて氷IVが,引き続いて2.1GPaにて氷VIIに相転移する挙動が観測されたこの相転移圧力は,文献値を良好に一致し,圧力制御の妥当性が示された.なお,同時に測定したRamanスペクトルからは水のOH対称伸縮振動スペクトルでの波数シフトも観測された. Al(NO_3)_3を原料にしたHDACでの水熱合成を421℃,〜850MPaの範囲で行った.昇温とともに反応が進行し,ゲル状物質が生成した.また,この生成が臨界密度近傍で促進すること,さらにベーマイトAlOOH微粒子の生成の重要な役割を果たしているこが判明した.
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