研究概要 |
導電性粒子流動層を利用することによるマイクロ波電界強度の均一化技術を提案し、セラミックスや食品などの成形体の精密かつ選択的急速乾燥への応用を図ることを目的とし、その実証試験を行った。一般に固・気流動層内での粒子運動は非常に乱雑な挙動を示す。このような特性を利用し、導電性の粒子を流動粒子に選ぶことにより、粒子表面でのマイクロ波の時間的、空間的乱反射が生じ、電界強度分布の時間平均的な高い均一化効果が期待できる。また、湿り固体のマイクロ波加熱では内部加熱が可能となるため、水分の内部移動速度を高めることができる。一方、マイクロ波による電磁誘導加熱特性が溶媒の種類に依存する。特に水は通常のマイクロ波加熱で利用される発振周波数2.45GHzの電磁波に対してその回転エネルギーが量子力学的に良好に励起される性質を有している。このような特性を利用することで、マイクロ波吸収性の高い分子を励起させることで気液間の非平衡化を実現することにより、多成分系溶媒の選択的蒸発乾燥が可能になるものと考えられる。これらの結果として、乾燥速度の促進に加え、含水率分布が均一化して内部応力や欠陥の生成を抑制する精密かつ溶媒の選択的な乾燥が期待できる。そこで、まずマイクロ波電界強度分布に与える流動状態の影響およびその相互作用を計測し、従来の撹拌翼に比べて均一化効果が高くなることを明らかにした。また、平板状に成形したカオリンのマイクロ波加熱では熱風加熱とは異なる乾燥特性を有することを明らかにするとともに,割れの発生がなく著しい乾燥時間の短縮が図られることを示した.さらに,水-2プロパノール2成分系混合溶媒のマイクロ波加熱による単蒸留試験を行い、水が平衡値よりも若干高濃度で選択的に蒸発する傾向を有することを確認した。
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