研究概要 |
近年,有害有機物の光分解や光殺菌プロセスなどに注目が集まっている。このようなプロセスの光源としては,253.7nmを主波長とする低圧の水銀灯が使用されている。 そこで,本研究ではローズベンガル水溶液の光分解反応速度を利用して照度を測定する化学光量計の開発とその応用について検討した。 反応特性は,光照射時間と濃度との関係を明らかにした。具体的には,ローズベンガルの初濃度の影響,反応温度の影響および光源と反応器との距離が反応特性にどのような影響を及ぼすかについて検討を加えた。次に,チタニア光触媒を殺菌装置に利用したときの影響について照度の観点から検討した。その結果,以下のことが明らかになった。 ローズベンガルの光分解反応は,二次反応に従い,初濃度や反応温度の影響を受けることが明らかになった。また,初期反応速度は光源からの距離の2乗に反比例することがわかった。さらに,照度の絶対値を求める際に必要な量子収率に相当する光利用率を求めたところ,0.02±0.003の範囲にあることがわかった。 一方,チタニア光触媒が大腸菌の光殺菌に及ぼす影響を検討したところ,チタニア光触媒を用いることによって約43%の殺菌効率の増大をもとらすことがわかった。そこで,ローズベンガルの光分解を利用した化学光量計を用いて照度の面から検討したところ,この増大のうち27%は照度の増大がもたらしたことが明らかになった。
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