研究概要 |
合成NaYゼオライト細孔内を制約されたナノ空間にしてフロンガスの吸着構造を調べる目的で、フロン分子を三重プローブ(Probe;探針子)として^1H-,^<19>F-^<13>C NMR測定実験を計画した。^<13>C-NMRについては感度が低いため成功しなかったので今後の課題として残した。そこでゼオライトにフロンガス(CHClF_2,CHF_3をフロン22,23という)を吸着させた時、フロン分子の吸着量とH-とF-NMRシグナルのケミカルシフトの関係から/(1)ゼオライトへのフロン分子の吸着構造モデルの決定/を行った。さらにゼオライト結晶内の不純物・強磁性Fe(360ppmを含有)が影響をもつ吸着種のH-,F-NMRによる緩和時間(T1;縦緩和)の測定から・吸着分子の挙動として運動相関時間を検討した。その結果、以下が得られた。/ (2)フロン分子の吸着構造とFe原子との相関構造モデルの決定 (3)Fe原子と測定核H, F原子間の緩和機構モデルの決定 (4)Fe原子と測定核H, F原子間の各最近接距離の決定 (5)H, F原子がFeの磁場から受ける変動磁場の相関時間の決定 (6)吸着フロン分子の吸着寿命の決定 (7)吸着フロン分子の平均ジャンプ距離(平均二乗拡散距離)の決定/ 本研究の目標の内、HY-NaY-ゼオライト対フロン22,23の組み合わせの吸着実験で、(1)^1H-^<19>F-NMRの測定の成功、(2)NaYゼオライトヘのフロン23の投稿結果は受理・印刷中、また(3)フロン22系の結果も投稿準備中(日本物理学会欧文誌を予定)、(4)緩和時間測定法(Inversion Recovely法)を用いた本系における吸着分子の拡散係数が文献値(別法)と一致、などが本研究の成果と結論できた。
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