研究課題/領域番号 |
12650788
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生物・生体工学
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
篠原 寛明 岡山大学, 工学部, 助教授 (60178887)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
3,700千円 (直接経費: 3,700千円)
2001年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2000年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
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キーワード | 生理活性ペプチド / 非天然アミノ酸 / 光異性化機能 / RGDペプチド / 細胞接着阻害 / ブラジキニン / 細胞機能制御 / インテリジェント分子素子 / 細胞内カルシウム / 光刺激 / インテリジェントペプチド / 外部刺激 / ペプチドホルモン / PC12細胞 / ボオチン / アビジン |
研究概要 |
本研究では、アミノ酸数個からなる生理活性ペプチドによる細胞機能の制御に着目し、こうした生理活性ペプチド分子中に光刺激に応答してコンフォメーションが変化する光異性化機能性非天然アミノ酸を組み込むことにより、単純な投与ではなく、人為的な光刺激に応答して可逆的に生理作用が変化するようなインテリジェント生理活性ペプチドを合成し、細胞機能の光制御を実現することを目指した。 そこで一つには、細胞表面のインテグリンレセプターに結合し、細胞の接着タンパク質への結合を阻害することで知られるアルギニン-グリシン-アスパラギン酸配列ペプチド(RGDペプチドと呼ぶ)に着目し、末端に光異性化機能性非天然アミノ酸のL-フェニルアゾフェニルアラニン(azoAlaと略す)を導入した直鎖状RGDペプチド、あるいはazoAlaを導入した環状ペプチドを固相法により合成した。そしてこれらのペプチドの添加による癌化細胞のフィブロネクチンコートウェルへの接着阻害効果を検討した。その結果、C末端側にazoAlaが導入されたRGDペプチドでは、市販のGRGDペプチドに比較して細胞接着阻害効果が著しく増強されることを明らかにした。またazoAla側鎖部がcis型の場合には、trans型の場合よりも細胞接着阻害効果が若干弱くなることを示した。さらに環状RGDazoAlaペプチドでは、0.4mM付近においてtrans体とcis体で接着阻害効果に大きな差が認められ、azoAla側鎖の光異性化によってペプチドの細胞膜インテグリンとの結合アフィニティを制御できることを示すことができた。 またもう一つ、アミノ酸9個からなるホルモン様ペプチドで、血圧降下や平滑筋収縮などの作用を有するブラジキニン(BK)に着目し、BKの8位のPheをazoAlaに置き換えたC末端アミド型のBKアナログを固相法により合成した。HPLC分析の結果、UV照射により90%以上がcis型になるとともに、ペプチドの極性が増大することが明らかとなった。次いでtrans型およびcis型それぞれのペプチドでPC12細胞を刺激した時の細胞内カルシウム濃度変化を蛍光観測した結果、100〜500nMの濃度域で明らかにtrans型に比べてcis型で細胞活性化能が高いことを明かにした。今後の予定として100nm程度の濃度域でtrans体ペプチドを投与しておき、UV照射でcis体に変換することによってリアルタイムに細胞の活性化を誘起できる事を明らかにする実験を計画している。
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