研究概要 |
H12年度はランタニドデカタングステン酸(LnW10と略)のヴァナジウム2置換体(LnV2W8)の合成とその含水酸化チタン上の固定化法の開発に力を注いだ。また、LnW10の光酸化触媒能とその各種遷移金属添加効果について予備的検討を行い、実績報告書(H12年度)の通り一定の成果を得た。H13年度は有機鎖修飾・LnV2W8(0rg-LnV2W8)、シラン剤修飾-TiO2(Sil-TiO2)上へのLnV2W8,0rg-LnV2W8の固定化法について種種試み、固定化触媒を得た。(LnV2W8/Sil-TiO2,0rg-LnV2W8/Sil-TiO2など)FT-IR, UV-vis, ICP, ESR測定によりキャタクタリゼションを行った。1)有機鎖修飾-LnV2W8のH2O2-酸化触媒特性を未置換-LnW10と比較した:たとえば、V置換によりメチルートリスルフィドでは4倍、2-ヘキセンー1-オールでは3倍、メントールに対しでは約倍の高い選択活性を得た。特に有機鎖修飾-LnV2W8/Sil-TiO2は無溶媒系でのH202-酸化触媒として"Green Chemistry"の観点から望ましい触媒である。2)Org-GdV2W8/Sil-TiO2について、UV-光照射下でのESR測定を行い、電子移動に伴う、Gd(III)とV(IV)および担体TiO2上のTi(III)イオン間のESRシグナル強度の変化について、また、この触媒系への低分子有機ガス導入下での上記ESRシグナル変化について、興味深い結果を得た。3)2)のESR変化に対応するUV-visスベクトルと蛍光スベクトルについては現在検討段階にある。4)Vとシラン剤によるシラノール基のLnW10への置換体の合成と、そのSil-TiO2への固定化を行った。5)LnW10の光触媒能に対する貴金属、遷移金属イオンの結合化の効果を種々検討し、特に、Cu-LnW10系、Pd-Cu-LnW10系で,たとえばアルコールの光触媒酸化反応に高い活性向上をみた。
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