研究概要 |
本研究では,機能性超微粒子を基材に固定化する新しいプロセスを開発することを目的とし.微粒子を懸濁させた電解浴から電気化学反応によってバインダ相となる物質を析出させ,これと微粒子の複合膜を基材上に作製する手法を検討した.微粒子としては光触媒機能を持つチタニアおよび,耐摩耗,耐熱,絶縁機能をもつアルミナを用い,それぞれ電解析出させた銅あるいはパラジウムといった金属およびシリカ等の酸化物との複合膜をすることで,それぞれの微粒子の機能を損なわずに固定化することに成功した.また,浴組成や電解条件によって微粒子の付着量やバインダ相との量比を制御できることを明らかにし,膜組成の最適化や傾斜組成膜の作製も可能であることを示した. 一方,このプロセスのキーポイントとなるバインダ相の電解析出に対して,従来知られていない前駆体溶液の探索もおこなった.その結果,シリカ前駆体としてのシリカゾル,チタニア前駆体としての三塩化チタン水溶液およびペルオキソチタン酸溶液,ジルコニア前駆体としてのジルコニウム過酸化水素錯体溶液などがこのプロセスに適用可能な新しい原料となることを見いだした.これらの前駆体を種々の微粒子の固定化に適用し,優れた特性を有する複合膜を作製することが今後の課題といえる. 以上の成果の一部については,主に日本セラミックス協会主催の学会で口頭発表した.また,特許化を検討していた成果が多かったため論文としての発表は遅れているが,特許申請の目処もついたため,順次論文投稿をおこなう予定である.
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