研究概要 |
1.Ru(II)-2,2'-ビピリジル錯体/チタニア触媒の調製 (1)コロイダルチタニア(100nm)をRu(II)-トリス(2,2'-ビピリジル)錯体(Ru(II)-bpy)を部分加水分解したポリ(2-メチル-2-オキサゾリン)へグラフトしたポリマー錯体で表面修飾した複合チタニア粒子(1)の調製に成功した。この調製において、最大3.52x10^<-4> mol/g(14.2Ru-atom/nm^2)の錯体の担持が可能であった。 (2)水溶液中でより安定なRu(II)-bpy錯体/TiO_2触媒を調製するために、まず粒径20nmのコロイダルシリカから2段修飾法によってRu(II)-bpy錯体/シリカ(20nm)を調製し、次にこの粒子とコロイダルチタニアの複合化によっても粒径40〜70nm程度の複合チタニア粒子(2)を調製した。 2.可視光照射下での光触媒能の評価 (1)紫外線をカットしたキセノンランプ光の照射下、水溶液中での粒子1の光触媒活性をメチルビオロゲン(MV^<2+>)への電子移動によって評価した結果、最大量子収率1.5%が得られた。また、この光触媒反応の速度論的解析から、Ru(II)-bpy錯体で光励起された電子のMV^<2+>への移動は、チタニア粒子表面を経由する経路とRu(II)-bpy錯体からMV^<2+>へ直接移動する経路で起こっており、直接経路はMV^<2+>の拡散律速であることおよび逆電子移動の割合が多いことなどが明らかになった。さらに、MV^<2+>濃度が低くなると、直接電子移動よりもチタニア表面を経由する電子移動の割合が70%程度まで増大することが観測された。 (2)粒子2は水溶液中で極めて安定な光触媒活性を示した。この活性はチタニア含有量が増加とともに増大したが、粒子1のそれの10%程度であった。今後、この粒子2の触媒系が実用的であるので、この系の量子収率向上に向けての改良が課題である。
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