|
本研究では、マクロモノマーの重合反応性に及ぼすテイル鎖の影響について検討する目的で、末端構造がメタクリレート型およびスチレン型の種々の分子量のポリスチレンマクロモノマーのラジカル連鎖重合性の検討を行った。異なる分子量のマクロモノマーに関してGPCおよび電子スピン共鳴(ESR)を用いて重合速度Rp、重合度DP、素反応速度定数kpおよびktの評価を行い、MA-PSt型のマクロモノマーについて、これらの値の分子量依存性および濃度依存性について有用な知見を得た。また、溶媒のないバルク重合系について、テイル鎖のガラス転移温度以上の高温溶融温度域で重合を行なった。ガラス転移温度に近い温度で最も高い重合性が見られ、温度上昇とともに重合性が低下することを確認した。バルク重合系では、拡散律速効果が顕著であると同時に末端メタクリレート型のもので天井温度および平衡モノマー濃度の影響が明確に認められるた。また、マクロモノマーの成長活性点近傍の局所運動性が低分子モノマーの直鎖型成長鎖のものに比べてどのような状況になっているかを調べる目的で、活性点に蛍光プローブを導入した試料の合成を行った。これをもとに蛍光偏光解消法により成長活性点の局所運動性を今後調べる予定である。また、マクロモノマーの重合系に共存する生成ポリマクロモノマーによる構造形成の影響を調べるため、ポリマクロモノマーのリオトロピック液晶形成と分岐構造との関係についても検討を行った。その結果、分岐密度、分岐数(重合度)、分岐長がリオトロピック液晶形成に大きく影響を与えること、MA型同様VB型のマクロモノマーの重合体においても液晶形成が見られることが分かった。さらに溶融バルク重合との関連で重合生成物であるポリマクロモノマーのレオロジー特性を検討し、分岐構造の影響を明らかにした。
|
