研究概要 |
本年度は以下のような研究目的を立てて研究を実施した。 1.沿岸域の海洋構造物に作用する津波波力の推定に関する数値解析システムの開発 1)日本近海からの津波伝播特性の把握 2)伝播してきた津波が東京湾や駿河湾に浸入した場合の津波伝播性状の解析 3)浮体周りの津波散乱問題の数値解析技術開発 4)津波による浮体動揺の解析システムの開発 2.水槽実験による浅海域での弛緩係留浮体の津波応答特性の把握 3.日本近海から伝播してきた津波による浮体応答解析システムの構築 上記の成果として,数値計算の要素技術を整備しなおし,近海で発生した津波が沿岸に到達するまでの一連の伝播シミュレーションを行う全体システムを開発した。 このシステムを用いて,これまでに日本近海で発生した津波を再現し,それによる弛緩係留浮体の応答特性を調べた。また,津波が浅海域に伝播してくる際に,津波の分裂がどのように発生するかについても検討を行った。その結果次のような知見を得た。 1)浮体の設置水深が30m程度あり,かつ岸から十分にはなれていれば,津波による浮体応答は波に乗る状態となる。またそのときの係留索張力は,通常の風波による設計波高に対する設計で問題ないことがわかった。 2)津波の分裂により,比較的継続時間が短いなみが来襲するが,やはり40秒程度のながさであり,弛緩係留浮体へのダメージは認められなかった。
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