研究概要 |
超弾性合金をバネ材として利用することにより、回転打撃方式で穿孔された横孔や斜孔にも容易に挿入・固定できる弾性波検層プローブを開発した。特に、従来型の超弾性合金のバネ特性に比して変形性能を大幅に改良した超弾性バネを開発した。そのため、測定孔へのプローブの挿入・移動という単純な作業のみでセンサーを確実に固定することが可能になった。結果として、測定作業が極めて簡便になり、測定は作業者の測定技能や習熟度に依存せず高精度の測定結果が得られるシステムを開発することができた。 測定機器の開発・改良と併せて、これまで弾性波検層調査が適用されなかった分野に対して、原位置計測による岩盤調査を行った。適用対象はトンネルと岩盤斜面とした。トンネルでは、第2東名高速道路トンネル調査で大断面(200m^2)掘削時の岩盤状態評価、スムースブラスティングを行った硬岩トンネルの岩盤損傷状態評価、軟岩トンネル掘進に伴う岩盤緩みの経時変化評価、地下発電所掘削に伴う支保効果の評価などを目的として調査を行った。また、岩盤斜面に対しては、地すべり地区の後背部にある斜面の挙動調査、崩壊斜面に存在する二次亀裂調査、石灰石鉱山における掘削発破による岩盤損傷状態調査、同じく石灰石鉱山の永久残壁における損傷・緩み状態などを調査した。永久残壁の損傷状態はこれまで本格的に調査されることがなかったために、これらの調査で予想以上に損傷を受けている場合があることが判明し、この結果を受けて今後の対策を考え直す契機となった。以上のように、多様な目的に対して弾性波検層法を適用することが有用であることを明らかにした。 これらの結果の一部を、発破による岩盤損傷状態評価については火薬学会誌(2001.Vol.62,No.6)、トンネル掘進に伴う岩盤緩み評価については国際会議(IS-KYOTO,2001.Vol.1)、制御発破に伴うトンネル周囲岩盤の損傷状態評価についてはFRAGBLAST誌(1999.Vol.3,No.1)と国際会議2編(GEOENG2000,2000、9^<th>ISRM Congress,1999)などにおいてそれぞれ発表している。 また、当該バネ材を弾性波検層以外の調査目的に利用することも有用である。そこで、その応用の一つとして動的応答変位を高精度に測定する試みを行い、検討結果を国際会議(EUROCK2001,2001)に発表した。
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