研究概要 |
GA_3処理により全てのブドウ品種を無核化できない原因を内生ジベレリン類(GAs)との関係から調査し、次のような結果を得た。 (1)'キャンベル・アーリー'、'デラウェア'および'甲州'の未熟種子からGAsを抽出・精製後、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)で分離した結果、いずれの品種においても3画分群(I、II、III)でGAs活性が認められたが、活性の強さは品種によって異なっていた。また、'キャンベル・アーリー'のIII画分群中からGA_4、3-epi-GA_4、GA_7およびGA_<34>がガスクロマトグラフィー質量分析(GC-MS)で同定され、生物活性からこの品種の主要GAsはGA_4およびGA_7と推定された。なお、ブドウ未熟種子中のGA_3は微量であることが判明した。 (2)GA_3、GA_4、GA_7の花(果)房処理は、'キャンベル・アーリー'や'デラウェア'の花粉発芽を抑制したが、'甲州'では抑制効果が著しく弱かった。また、これらのGAs処理による無核化率は、'キャンベル・アーリー'ではGA_7(96%)>GA_3(71%)>GA_4(66%),'デラウェア'ではGA_7(99%)>GA_4(97%)>GA_3(94%),'甲州'ではGA_3(28%)>GA_7(16%)>GA_4(13%)の順に高かった。 (3)'キャンベル・アーリー'と'甲州'から得られた内生GAsを用いて両品種の無核化を試みたところ、各画分群(I、II、III)処理により両品種の着果率に対する反応が著しく異なっていた。 以上の結果から、今後は内生のGAsと花粉の発芽率との関係、無核化し易い'デラウェア'と無種子化が困難な'甲州'の内生GAsの違いを明らかにする必要がある。
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