研究概要 |
3ヶ月齢のトマト植物体を用いてインドール酢酸(IAA)に関して、液体クロマトグラフィーマススペクトロメトリーで内生IAA量、蛍光検出器で拡散量、放射活性IAAで極性輸送活性を調べた。茎の上部と下部の両方において、アポプラスト(AP、細胞外液)のIAA濃度は、シンプラスト(SP、細胞内液)より高かった。これは、APのIAA分析が重要であることを示している。若い葉では、古い葉より拡散IAAを多く輸出した。主根のIAA濃度は、茎とほとんど同じであった。これらの結果はIAAの輸送能力が茎のIAAの輸送量の制限因子で、極性IAA輸送の量は内生IAA量のほんの19%と示唆した。 単為結実性トマトの種なし果実のIAA、ジベレリン(GA)、トランスゼアチン(Z)とトランスゼアチンリボシド(ZR)を分析した。細胞肥大期の中頃に相当する横経が6cmの段階を肥大期と称し,細胞肥大期の終わり頃に相当する横径が8cmの段階をMG期と称した。果皮と隔壁のIAA濃度は,肥大期よりMG期に高くなった。隔壁では,肥大期とMG期の両方で,SPのIAA濃度はAPよりも高かった。Z濃度に関して、肥大期の隔壁のSPは最高で、APの2.7倍で,一方,果皮ではAPとSPは同程度であった。肥大期の子室のZR濃度は、全ての部分中で最高であった。これらの結果は、合成部位が、IAAとZは隔壁のSPで、ZRは子室であることを示唆している。
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