研究概要 |
1.Ostrinia属7種の20-hydroxyecdysone(20E)に対する味覚器官の電気生理学的反応を調べたところ,O.furnacalisとO.palustralisの20Eに対する反応が弱いこと,O.nubilalis, O.scapulalis, O.orientalis, O.zealisの20Eに対する反応は強く,O.latipennisが中間的な反応を示すことがわかった.20Eに対する反応には狭食性,広食性といった食性の差異とは明瞭な関係が認められなかった. 2.Ostrinia 4種の糞から,同種・同属種の産卵を抑制するフェロモンが放散されていること,生物検定と化学分析によりそのフェロモンが主にpalmitic acid, stearic acid, oleic acid, linoleic acid, linolenic acidを含む酸性画分にあることを明らかにした.O.zealis,O.latipennis, O.furnacalis, O.scapulalisの4種の間には,酸の組成に差異は認められなかった.O.zealisの組成で調製した酸の混合物は4種のメスの産卵を阻害した. 3.Ostrinia zealisの寄主であるアザミCirsium japonicumおよびOstrinia zaguliaeviの寄主であるフキPetasites japonicusの匂いを化学的に解析し,C.japonicumからは67成分を,P.japonicusからは69成分を同定することに成功した.C.japonicumの精油中の主成分はpalmitic acid(14.42%), caryophyllene oxide(12.57%), khusinol(6,31%), pentadecanoic acid(6.28%), myristic acid(4.66%)であった.P.japonicusの主成分はβ-caryophyllene(22%),valencene(15%)であった.
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