研究課題/領域番号 |
12660052
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
蚕糸・昆虫利用学
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
國見 裕久 (国見 裕久) 東京農工大学, 農学部, 教授 (50195476)
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研究分担者 |
仲井 まどか 東京農工大学, 農学部, 助手 (60302907)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2001年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2000年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | オス殺し / Wolbachia / 細胞質因子 / チャハマキ / 性比異常 / 腫瘍 / 雄殺し / Vertical transmission |
研究概要 |
本研究は、チャハマキで発見された性比異常現象の生態学的特性を明らかにし、性比異常を引き起こす要因を解明することを目的として行われた。 まず、性比異常系統と正常系統の生態学的特性を比較検討したところ、卵の孵化率は性比異常系統と正常系統との間に有意な差がみられなかったが、幼虫期の死亡率は、正常系統では5%以下であったのに対して、性比異常系統では約50%に達した。これらのことから、性比異常系統において性比がメスに偏るのは、幼虫期にオスが選択的に致死するlate male-killing(雄性致死)に起因することが明らかとなった。 次に、性比異常形質の遺伝様式を調査するために性比異常系統と正常系統の個体との間で正逆交雑および戻し交雑を実施した。その結果、性比異常の形質はメスを通じて伝達され、交配を数世代繰り返した場合においても消失することはなかった。よって、性比異常の形質を引き起こしている原因は、核内の遺伝因子ではなく細胞質内にある因子が原因であることが示唆された。 チャハマキにmale-killingを引き起こし、性比をメスに偏らせる因子(以下、MK因子)の探索を行い、精製を試みた。まず、これまでに報告されている性比異常現象の原因微生物に性比異常系統(以下、MK系統)のチャハマキが感染しているかどうかを調査した。その結果、MK系統はプロテオバクテリア類のαサブグループに属するWolbachiaに感染していることが確認された。Wolbachiaが本現象の原因であるかを解明するため、抗生物質投与によりWolbachiaに感染していないMK系統を作出した結果、得られた系統においてもmale-killingが認められたことから、WolbachiaはチャハマキのMK因子ではないことが明らかとなった。次に、MK系統のオス幼虫磨砕液の遠心分離操作およびフィルタレーション操作によって、MK因子の単離を試みた結果、MK因子は0.45μmのフィルターを通過し、100,000gの遠心により沈殿することが明らかとなった。このことから、MK因子はウイルス様の粒子が関与していることが推察された。
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