研究概要 |
1.パイエル板におけるインターロイキン(IL)-5,IL-6産生機構の解析 (1)パイエル板由来樹状細胞,特にCD11b+樹状細胞は脾臓由来樹状細胞と比較してIL-6を産生能が高いことを明らかにした.(2)パイエル板由来未感作型CD4T細胞のIL-6分泌能が高いことを見い出した.(3)パイエル板においてIL-2レセプター(IL-2R)を発現し,CD3,B220を発現しない非T非B細胞が,IL-2刺激に対し,IL-5を分泌することを明らかにした.このIL-2R発現細胞はこれまでIL-5を分泌することが知られるT細胞,NK細胞,好酸球,マスト細胞と異なっていた.また,パイエル板細胞からこの細胞群を除去した場合IL-5の分泌が有意に低下した.2.卵白アルブミンを長期間経口摂取し経口免疫寛容の誘導された卵白アルブミン特異的T細胞抗原レセプタートランスジェニックマウス由来脾臓T細胞において,T細胞抗原レセプター(TCR)からのシグナル伝達について解析した.経口免疫寛容状態のT細胞はTCR刺激に対するTCR-ζ,ZAP-70,LATのリン酸化の程度が低く,細胞内Ca^<2+>濃度上昇,NF-ATの脱リン酸化および核内移行が抑制されていた.一方で,Ras/MAPK経路のERK, SAPKには差が認められなかった.これらの結果からTCR刺激によるCa^<2+>経路の活性化が弱いことが低応答性の原因と考えられた.一方経口免疫寛容状態のT細胞についてIL-2Rからのシグナル伝達経路について解析したところ,IL-2Rの発現量やJAK-STAT系の活性化には変化がなかったが,細胞周期抑制分子p27^<kip1>のIL-2刺激による分解が抑制されており,これがIL-2に対する低応答性の要因であると考えられた.
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