研究概要 |
XAD-2000,PVPおよび分取HPLCによる単離・精製を組み合わせることにより,紫甘藷塊根及び赤アサガオ花弁から純粋な色素の大量調製を比較的短時問で成し遂げることができた。これらは,共通の骨格である3-ソホロシド-5-グリコシドをもつ,アシル化アントシアニン類であることを確認した。単離したアシル化アントシアニンを腸管環境下(pH6.8,37℃,暗所)に24時間置いた結果,退色度(不安定性)はYGM-5b>SOA-4>YGM-3と-6>SOA-6の順であった。この結果はAGH阻害活性の順(SOA-4>SOA-6>YGM-3,6)と異なっており,不安定性とAGH阻害活性は相関しないことが判明した。 この反応液中にはアンヒドロベース(A),シュードベース(B)およびカルコン(C)と思われる3種類の成分が見られた。経時的にA→B→Cの様に反応が進み,24時間後に組成はYGM-5bとSOA-6を除いて,A : B : C≒1:1:2となった。いずれもカフェ酸を保持していることが判明した。 次に,SOA-4を大量に腸管環境下で退色させ,分取HPLCを用いてCの単離・精製を試みた結果,溶離液として中性リン酸緩衝液系を用いた場合に成分Cと他の成分が分離でき,成分Cを再現性よく単離できた。また,質量分析の結果,成分CはSOA-4が水和と異性化して生成したカルコンであることが強く示唆された。現在,脱塩とNMRによる構造解析を予定している。また,残りの成分AとBの単離についても検討中である。 SOA-4のAGH阻害活性は退色化(アグリコン部の構造変化)によって変化しないことから,AGH阻害活性の発現にはSOA-4,-6およびYGM-3,-6が共通に持つ3-位アシル化糖側鎖構造(6-カフェオイルソホロース部位)が必須と考えられた。
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