配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2002年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2001年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2000年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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研究概要 |
シイタケ菌床における,種々の培養温度,水分環境での菌糸蔓延および子実体発生時のラッカーゼとセルラーゼの転写を検討した。菌糸蔓延から子実体発生までの各ステージでRNAを抽出し,遺伝子転写はRT-PCR法で試験した。ラッカーゼのmRNAのレベルは菌糸蔓延時に最高となり,子実体形成に伴って減少した。一方,セルラーゼmRNAのレベルは開傘時に最高値を示した。ラッカーゼとセルラーゼ遺伝子の転写は低温や水ポテンシャル増加などの環境要因の変動によって引き起こされた。 シイタケ菌床に電気インパルスを印加して,子実体発生への影響を検討した。15KVの電気インパルスを子実体誘起直前の,培養90,130,170日目の3期に印加した。処理時の菌床の熟成度を把握するために,各期におけるエルゴステロール含有量,水ポテンシャルを測定した。周年,高温,低温と子実体発生型が異なる4種類の菌株を用いたが,いずれも電気インパルスの印加により子実体発生量が増加した。培養齢が進んだ3期目の菌床での子実体発生で,電気インパルス印加区と無処理区との差が最も明瞭に表れた。 マツタケ発生林において,シロが形成されている林床に核酸関連物質の水溶液を散布し,細根部の菌体量および子実体発生に関して検討した。核酸関連物質として木材キシロースを主糖源に培養したトルラ酵母から抽出したリボ核酸(RNA-M)と,それを酵素処理した5'-ヌクレオチドの混合物(RNA-Nt)を取り上げた。これら40gを蒸留水4,000mlに溶解させ、林地に設けた4m^2の試験区に直接散布した。細根部の菌体量を把握する手法として,キチン,エルゴステロール,リン脂質の定量が有効であった。散布区では細根部でこれらの指標成分が増加したことから、菌体量が高まったものと思われた。散布してから1ヶ月後に子実体発生が始まり,14日間の子実体発生期間で,散布区での発生量はRNA-Mで230g(9個),RNA-Ntで210g(7個),対照区は0-60g(0-2個)であった。マツタケ発生林で核酸関連物質を散布することによりマツタケ子実体の発生促進効果を認めた。
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