研究課題/領域番号 |
12660173
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
水産学一般
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中尾 実樹 九州大学, 大学院・農学研究院, 助手 (50212080)
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研究分担者 |
矢野 友紀 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (90038266)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2001年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2000年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | 補体 / 硬骨魚類 / コイ / 古典経路 / 分子クローニング / 多様性 / 遺伝子重複 / C1 / C4 / クローニング / 系統発生 / 生体防御 |
研究概要 |
本研究は、コイを実験魚として用い、古典経路の活性化機構、特にC3活性化の分子機構を解明することを目的とした。まず、古典経路で最初に働く補体第1成分(C1)の亜成分、C1r/sをクローニングした。その結果、コイから約80%のアミノ酸配列同一性を示す2種類のC1r/sアイソタイプが同定された。これらは哺乳類のC1r/C1s/MASP2と同じドメイン構造をとるが、基質特異性に影響すると考えられるアミノ酸置換が見つかり、両者が機能的に分化している可能性が示唆された。次に、同経路で2番目に活性化されるC4をクローニングした。ここでも、2種のC4アイソタイプが同定されたが、これらは約35%しかホモロジーを示さず、さらに、異物への結合特異性を支配する部位にアミノ酸置換が見られた.したがって、2種のC4は異なる異物を認識する可能性がある。また、コイC4の部分配列をもつペプチドによる溶血反応阻害試験によって、両C4アイソタイプが古典経路で機能していることが示唆された。さらに、C3の活性化を担うセリンプロテアーゼであるB/C2についてもcDNAをクローニングしたところ、コイには4種のB/C2アイソタイプが存在することが明らかとなった。そのうち、全く同じドメイン構造をとる3種のアイソタイプ(B/C2-A1、B/C2-A2、B/C2-A3)について、それらの発現を検討したところ、A1とA2アイソタイプは肝膵臓で構成的に発現しているのに対し、A3アイソタイプは、頭腎、体腎、脾臓で発現し、その発現量はβ-グルカンの投与によって刺激されることが判明した。この結果は、コイには急性期応答因子として機能する新規B/C2成分が存在することを示唆している。以上の結果から、コイには哺乳類と相同な成分から構成される補体古典経路が存在するものの、その反応様式は哺乳類とは異なる特有なものに分化していると推定された。
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