研究概要 |
本研究は,バイオビジネスにおける経営行動評価の統合理論の解明,経営者能力の評価法の開発,経営者能力養成のための実践的なバイオビジネス・ケースの開発と,ケースを活用した効果的な教育法の解明を目的に実施したものである。得られた成果の概要は,以下のとおりである。 1)経営行動のタイプを大きく「能動的行動」と「受動的行動」に分類し,能動的な行動では「動機が顕在化する」プロセス」と受動的動機に従って「統合的意思決定」によって,顕在化された動機を充足するための行動を起こすかどうかを決定する。もし,ここで充足行動が決定されると,具体的な行動を選択するための「核心的意思決定」が行われることを整理した。この整理によって経営者の意思決定科学として経営学が取り組むべき課題を明確にすることができる。 2)経営者能力の評価に関しては,多様な経営者能力を多方面から把握するための85項目の個別指標を理論的・既往研究成果のレビューによって解明するとともに,その有効性を企業的農業経営者78人,企業のトップマネジメント26名を対象として実施した。その結果,この個別指標を用いて経営者の特性はかなり良好に把握できることが確認できた。また,10項目の指標を用いた経営者特性の簡易診断法を開発し,その有効性を実証した。その結果,こうした簡易診断法の有効性は高いことが示唆された。 3)経営者能力ならびにピジネスの専門家としての能力養成のためのバイオビジネスケースを,同僚研究者とともに15例開発した(研究代表者が関わったケースは8例)。開発したケースを大学のゼミナールで活用し,その効果・問題点・効果を高めるための改善点を整理した。
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