研究概要 |
α-メチルスチレンモノマー(MSM)および同ダイマー(MSD)を添加剤として200℃程度で油化した再生油の粘性特性の把握に努めた。その結果、次のような知見が得られた。MSMとMSDでは粘性が低い点からMSMの方が優れている。MSMの添加量を一定にした場合に限定すれば、再生油の数平均分子量と粘度の関係を非常に精度良く数式で表示出来た。また、再生油を60℃以上に加熱すると、粘度特性は不安定になると共に再現性も低下した。再生油の数平均分子量が5,000以上になると急激に粘度が増加すると共に非常に不安定となるので好ましくない。従って、粘度特性を安定させるためには少なくとも数平均分子量を5,000以下にし、油温は60℃以下で使用する必要がある。 既存の燃焼装置を利用することを念頭に置くと少なくとも重油程度の粘度特性が得られなければならない。数平均分子量を4,000〜5,000程度の再生油で、重油程度の粘度特性を得るにはMSM等で4倍程度に希釈する必要が生じた。次に再生油の燃焼試験を行った。既存のバーナーを開放の状態で用いた場合、灯油とほぼ同じような状態で燃焼し、黒煙などは見られなかったが燃焼終了後の観察で、再生油の一部が未燃焼の状態で周囲に飛散していることが判明した。一方、燃焼室内にバーナーで再生油を噴射した場合には燃焼室内が1,000℃以上になるため、燃焼後燃焼室を観察したが完全燃焼できた。また、燃焼室内の燃焼ガスの成分を測定したが、灯油と比較して、CO、CO_2、NOxなどの含有率にほとんど差異が認められず、問題は無いものと思われる。今後は再生油の処理エネルギを最小限に押さえること、および希釈剤をMSM以外の安価なものに変え、可能な限りの低廉化に努める予定である。
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