研究概要 |
本研究は、大別して1)子牛におけるMet,側鎖アミノ酸(BCAA),Phe間の拮抗的相互作用の再確認と原因の究明、2)その種の相互作用は非反芻動物、例えば肉食動物の猫にも見られるかどうか、3)子牛における過剰Lysの有害作用、の3項目について検討することを目的とした。その結果、以下の結論が導かれた: 1.食道溝経由DL-Met投与時に認められる血漿BCAAおよびPhe濃度の低下は窒素蓄積量の増加とは無関係であった。 2.CP摂取量の増加は窒素蓄積を増加させ、血漿Met濃度を低下させたが、血漿BCAA、Phe濃度には大きな影響はなかった。 3.TDN摂取量の増加も窒素蓄積を増加させたが、血漿BCAA、Phe濃度は増加した。 4.猫の食餌にDL-Met6%を添加すると血漿Met濃度が著しく増加する一方、血漿BCAA, Phe濃度は有意に減少し、これは子牛における拮抗的相互作用と同様であった。 5.DL-Met6%に加えて等モルずつのL-ArgとGlyを添加すると血漿Met濃度が有意に減少する一方、シスタチオニン濃度は有意に増加した。血漿BCAA, Phe濃度はMet6%の添加で有意に減少し、Arg, Glyの添加によってさらに低下した。 6.子牛において0〜64g/日のL-Lysを塩酸塩の形で投与すると、64g/日ではインバランスが生じたが、Lys-Arg拮抗は認められなかった。 7.しかし、L-LysHCl投与量の増加と共に糞水分含量が増加し、64g/日では一過性の下痢が生じた。 8.その下痢の原因はHCl部分ではなく、明らかにL-Lysの側にあった。 9.L-LysHCl投与量の増加とともに糞および尿中へのOrn排泄が増加した。
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