研究概要 |
研究の主なまとめ 1.副細胞・主細胞の分化に関する研究 今までに我々は胃底腺の副細胞が主細胞の前駆細胞であると主張して来た。 (1),副細胞は漿粘液細胞であり、一方主細胞は漿液性細胞である。副細胞は頚部域に、主細胞は底部域に存在する。この両者の中間型細胞が存在する。 (2),副細胞、中間型の細胞、主細胞をPAS反応の電顕レベルの染色であるPA-TCH-SP染色で染めると、副細胞の顆粒は彌慢性に染色され、主細胞の顆粒は染色されない。中間型の細胞はその粘液性部分のみが陽性に染色される。 (3),これはレクチン染色でも確認されている。コロイド金標識したHPAレクチン、GSA11レクチンなどを用いた超薄切片染色で副細胞の顆粒は彌慢性に標識され、主細胞の顆粒はまったく標識されない。中間型細胞の顆粒はその粘液性部分のみ陽性に染まる。 (4),前腸由来の粘液細胞を特異的に染めるHIK1083抗体による染色でも上記三種類の細胞の染色はPA-TCH-SP染色やコロイド金染色の所見と同じであった。 (5),我々の作製したpepsinogen C特異抗体を用いた免疫組織化学的染色により主細胞は強く染色されるが、副細胞も陽性に染色される。中間型細胞はその漿液性顆粒部分が陽性に染色される。 (6),Pepsinogen Cのin situ hybridizationの結果、副細胞にも、主細胞にもpepsinogen CのmRNAが存在する事が判明した。この事は遺伝子レベルで副細胞の主細胞の前駆細胞を支持する事になる。 2.高圧凍結・凍結置換による壁細胞のH^+-K^+-ATPaseの免疫組織化学 (1),高圧凍結、凍結置換、親水性樹脂包埋試料でH+-K^+-ATPaseの組織化学を行って、壁細胞の分化と本酵素の動態関係、分泌期と飢餓期の本酵素の局在を観察した。 (2),微細構造の優れた状態で、化学固定標本より高い標識が得られ、分泌期には細胞内分泌細管に主に局在が見られ、飢餓期には小管小胞構造にも標識が見られた。
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