研究分担者 |
磯貝 純夫 岩手医科大学, 講師 (60212966)
堀口 真由子 (泉山 真由子) 岩手医科大学, 助手 (30305990)
横田 秀夫 理化学研究所, 素形材研究室, 研究協力員(研究職) (00261206)
中村 佐紀子 理化学研究所, 素形材研究室, 研究協力員(研究職) (60322682)
牧野内 昭武 理化学研究所, 素形材研究室, 主任研究員 (80087460)
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研究概要 |
哺乳類の四肢血管・神経を同時に観察して,その形成過程を解明する目的で,まずはラット胚の前肢芽に対して,三次元内部構造顕微鏡観察,血管樹脂鋳型SEM観察,血管色素注入・神経免疫染色全載胚標本の実体顕微鏡観察を並行して試行し,それらを総合して,次の成果を得た. 1.先の研究でラット胚の原始鎖骨下動脈は背側大動脈外側面から節間動脈とは全く無関係に複数・不定にでる動脈で,後主静脈の腹側を通過する事を示したが,本研究では頭側の幾つかの原始鎖骨下動脈が心臓下降に伴い起始が下降・合体して鎖骨下動脈となること,その鎖骨下動脈が後主静脈の中をすり抜けて背側に移動すること,その起始が背側大動脈上を大規模に移動して,節間動脈を飲み込むこと等を解明した.2.神経叢が動脈形成に遅れて始まるが,腋窩動脈幹は神経叢C6-7間を貫通する外側腋窩動脈幹が鎖骨下動脈から,尾側を回る内側腋窩動脈幹がより尾側の原始鎖骨下動脈から形成され,それらの腋窩動脈幹には窓が開いて網状化すること.その網状化した部分の一部に遅れて発達する鎖骨下静脈が交通すると,腋窩動脈と伴行する腋窩静脈との動静脈伴行形態に変化すること.次の段階で神経叢を貫通する外側腋窩動脈幹が消失し,代わって内側腋窩動脈幹が発達して,ヒトのAdachi-C型腋窩動脈と似たラット成体型の腋窩動脈となること;等が分かった.3.初期の胚の血管は内皮細胞のみで非常に可塑性に富むが,受精以後13日目位に背側大動脈の背面から血管壁の形成が始まり,動脈・静脈・毛細血管の区別が生じ,前枝動脈幹の遠位部はより遅れて網状化と伴行静脈顕性を経た後,成熟すること,腹大動脈腹側面から起始する腸管の大血管などは更に遅い時期まで起始の下降が続くことなど,部域によって成熟時期が異なることが分かった.4.前主静脈,鎖骨下・腋窩静脈,前枝の皮静脈幹,外頸静脈などの形成過程が解明された.
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