研究概要 |
私たちは,ヒスタミンの合成酵素であるヒスチジン脱炭酸酵素(HDC)遺伝子における転写調節機構について研究している.この遺伝子はヒスタミンの合成能のある細胞,すなわち肥満細胞,好塩基球,神経細胞,胃壁細胞などで発現しているが,その細胞特異的な.発現は遺伝子上流のメチル化によって強くコントロールを受けている.私たちはマウス細胞株であるP815細胞におけるプロモーター領域のメチル化につき,研究を深めた. 1)マウスのHDCゲノム遺伝子をクローン化し,構造を決定した. 2)プロモーター領域を脱メチル化剤である5-azaCで脱メチル化させると,HDC遺伝子が新たに発現することが判明した. 3)プロモーター領域のみをメチル化したレポーター遺伝子を組み込んだ遺伝子導入株はメチル化のないレポーター遺伝子の導入体より,レポーター活性が低いことがわかった. 4)さらに,この細胞は5-azaCによってレポーター活性が上昇した. 以上のことより,マウスのHDC遺伝子もプロモーター領域のメチル化ヒによって遺伝子の発現がコントロールされていることが判明した. さらに,生体内での遺伝子発現のコントロールを解析していくために,マウスHDC遺伝子のプロモーター領域とGFPを繋いだベクターを作成した.このベクターはトランスジェニック・マウスを作製するために用いられる.作製したマウスを用いると,種々の発現誘導を試みたり,HDC遺伝子のノックアウトマウスと掛け合わせたりして,発現と誘導剤あるいはヒスタミンとの関係を明らかにできる.
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