研究概要 |
ポストゲノムの時代に入り,組織或いは細胞に発現する蛋白質のゲノム機能解析は一段と加速した。二次元電気泳動法(2D SDS-PAGE)は発現蛋白質の分離同定に有用な機器であるが,同時に特異的な疾患のマーカー蛋白質の診断ツールとしても使用し得る。しかしながら、全組織分析は,低コピー率の蛋白質の検出を不可能とする。従って、免疫沈降,アフィニティークロマトグラフィー,オルガネラ分画等の前処理を必要とする。我々の研究目的は,細胞及び組織のオルガネ分画物の蛋白質プロファイルを、医学領城におけるクリニカルモレキュラスキャナとして1D/2D SDS-PAGEを使用する事にある。 第一に、我々はNycodenz溶液の凍結融解で密度勾配を作成し、ラット肝臓のワンステップ-オルガネラ分画法を開発した。40mlの遠心管に20%Nycodenz液を入れ-20℃のフリーザーで一夜凍結し,室温に数時間放置後、密度勾扉を作成した(1.0068-1.3523)。ラット肝臓の核及び細胞質除去後のホモジナイズ液をNycodenz勾配液に層積し,遠心,オルガネラを分画した。分画後の1D SDS-PAGEで蛋白質のプロファイルを観察し,各オルガネラのマーカー蛋白質をウエスタンブロットで確認した。オルガネラの主画分については2D SDS-PAGEで蛋白質プロファイルを得た。 電気泳動-質量分析法による蛋白質の同定は、プロテオーム解析において有効な手法である。蛋白質のシステイン残基は,ゲル内消化に先立ち還元アルキル化処理を必須とする。我々は電気泳動中にアクリルアミドを添加するアルキル化-システインプロピオンアミド(PAMcys)法を開発した。その結果,システイン及び総トリプシンペプチドの回収率上昇によりデーターベースサーチ精度が上がった。 正常と老化マウス肝臓の発現蛋白質をオルガネラ分画と1D/2D SDS-PAGEとのシークエンシャル法で、比較を開始した。
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