研究課題/領域番号 |
12670149
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
病態医化学
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研究機関 | 特殊法人理化学研究所 (2001) (財)大阪バイオサイエンス研究所 (2000) |
研究代表者 |
今村 一之 理化学研究所, 視覚神経回路モデル研究チーム, 研究員 (30203326)
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研究分担者 |
渡辺 恭良 大阪市立大学, 大学院・医学研究科・システム神経科学, 教授 (40144399)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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研究課題ステータス |
完了 (2001年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2001年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2000年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 発達 / 大脳皮質視覚野 / 水頭症 / 可塑性 / 冗長性 / 機能補償 / 方位選択性 / PET / 受容野 |
研究概要 |
発達初期にケオリンを大槽内に注入することによって、ネコの水頭症モデルを作成した。脳室の拡大、大脳皮質の薄層化は顕著であったが、脳室-腹腔内シャント手術を施行することによって、脳の解剖学的異常を維持した状態で、モデル動物を維持することができた。内因性信号の光学計測法を用いて、第一次・第二次視覚野における方位選択性カラムを視覚化する実験を行い、全体的なカラム形成パターンは、ほぼ正常に維持されていることを明らかにした。微小電極を薄層化した大脳視覚野に刺入し、細胞外誘導にて光反応を調べたところ、正常な受容野特性を有する細胞が存在していることも明らかになった。しかし、ほとんどの細胞は、単眼性細胞で、正常ネコ視覚野に特徴的な両眼性細胞は、ほとんど記録されなかった。スライスを用いたin vitroの実験から、異常発達した視覚野のニューロンは、脱分極通電により、正常に活動電位を発生することができた。細胞内染色によって、細胞の形態を調べたところ、明らかに樹状突起に異常が認められた。 さらに、モデル動物の脳全体の代謝を調べる目的で、フッ素18で標識されたフルオロデオキシグルコースをトレーサーに用いたPETイメージングを行った。その結果、薄層化した大脳皮質の中でも、正中領域では、比較的高いグルコースの取り込みが認められたが、後頭視覚領野の代謝は、低下していることが明らかになった。 以上の結果から、発達異常脳においては、機能再編が誘導され、構造や代謝に異常が認められるにもかかわらず、個々の神経細胞の機能やカラム構造レベルでの機能が正常に維持されるように可塑的変化が生じることが明らかになった。 中枢ノルアドレナリン系の活性化によりシナプス可塑性レベルが増大し、神経活動に依存したシナプス可塑性によって、機能再編が誘導された可能性が示唆された。
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