研究課題/領域番号 |
12670150
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
病態医化学
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研究機関 | (財)東京都高齢者研究・福祉振興財団 |
研究代表者 |
猪股 光司 (財)東京都高齢者研究・福祉振興財団, 東京都老人総合研究所, 主任研究員 (30142649)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2002年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2001年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2000年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | 白内障 / アミノグアニジン / 誘導型NO合成酵素 / カルパイン / カルシウムイオン / タンパク質分解 / クリスタリン / NO合成酵素 / カルシウム |
研究概要 |
我々は遺伝性白内障ラットのSCRを用いて白内障発症機構の研究を行っている。これまでに、白内障を発症する水晶体ではカルシウム濃度が著しく上昇することや、それによって活性化されるカルパインが水晶体タンパク質の不溶化(水晶体の混濁化)を促進することを突き止めている。また、最近ではアミノグアニジン(AG)と呼ばれる薬剤に抗白内障作用があることを見いだしている。そこで本研究では、AGの作用機構を解析することによって白内障発症機構の解明を目指した。その結果、AGは白内障水晶体で起こるカルシウム濃度の上昇を押さえることによって、カルパイン依存性のタンパク質分解を阻害することが明らかとなった。AGは誘導型NO合成酵素(iNOS)の阻害剤と考えられている。従って、水晶体カルシウム濃度の上昇にはiNOSが関与することが予想される。そこで、iNOSの関与を調べるために水晶体混濁過程に於けるiNOSの動態並びにiNOS発現に及ぼすAGの影響等を解析した。その結果、1)白内障発症群の水晶体でのみiNOS mRNA並びにiNOSタンパク質が高発現すること、2)AGの投与によって混濁化が抑制された水晶体ではiNOSの発現が強く抑制されていること、3)iNOSの高発現はカルシウム濃度の上昇やカルパインの活性化によりも更に早い時期に起こること、等が判明した。以上の結果から、SCRの水晶体は以下のような機構で混濁化することが予想される。白内障を発症する水晶体では何らかの原因でiNOSが高発現し、iNOS由来のNOやONOO^-等のフリーラジカルを多量に産生する。これらのフリーラジカルは酸化力が強く細胞膜を傷害してCa^<2+>の流入を亢進する。細胞外から流入したCa^<2+>は濃度が高くカルパインを著しく活性化する。カルパインは可溶性タンパク質を限定分解して不溶化し、水晶体を混濁化させるものと考えられる。今後は、ヒト白内障の発症にiNOSが関与するか否かを明らかにする必要がある。
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