研究概要 |
胃粘膜におけるDNAメチル化の生理的変化およびメチル化DNA検出の臨床的意義について:非胃癌剖検例36例(31才以下11例、45才以上25例)の胃上部、中部、下部から、胃粘膜組織を採取してDNAを抽出、methylation-specific PCR(MSP)法で,APC, E-cadherin, DAP-kinase, p16,RUX3,RASSF1A, hMLH1,GSTP1の各遺伝子プロモーター領域のメチル化の状態を検索した.さらに、胃癌症例の癌部、非癌部でのメチル化の状態と比較し、メチル化DNA検出の臨床的意義について考察した。若年者剖検例ではAPC以外にはメチル化は検出されなかったが、高齢者には種々の頻度でメチル化が出現していた(APC>E-cadherin>DAP-kinase>p16>RUNX3>RASSF1A>hMLH1>GSTP1=0)。高齢者非胃癌剖検例胃粘膜、胃癌症例の癌部、非癌部でのメチル化の状態を比較すると、RUNX3が最も癌特異性が高く(P<0.01)、hMLH1とp16のメチル化胃癌症例の非癌部粘膜で、非胃癌症例の胃粘膜に比較して高率にメチル化が検出された(P<0.01)。これらのメチル化DNAの検出は胃癌の診断あるいは発生予測のマーカーとして有用である可能性が示唆された。
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